■ 開催日 2025年8月18日(月)
■ 視察場所
- 大島(高松市)
- 歴史・施設:大島会館(大島自治会講話)、納骨堂・慰霊碑、解剖台など
- アート・その他:田島征三作品(青空水族館、森の小径など)、ニキータ・カダン「枝と杖」、鴻池朋子「リングワンデルング」、山川冬樹作品(結ばれて当たり前なる夫婦なりしよ、など)、カフェ・シヨルなど
- 女木島(高松市)
- アート施設:港周辺(カモメの駐車場など)、小さなお店プロジェクト(女木島名店街)、女木小学校(大竹伸朗「女根/めこん」、ヤコブ・ダルグレン作品など)、依田洋一朗「女木島名画座」、レアンドロ・エルリッヒ「不在の存在」、ニコラ・ダロ「ナビゲーションルーム」、小谷元彦「こんぼうや」など
■ 視察研修の目的
直島塾の先進地視察研修プロジェクトは、本来、移住・定住促進などの地域振興策について先進的な取り組みからノウハウを学ぶことを目的としています。しかし本年度は、「瀬戸内国際芸術祭2025」の開催年であることから、瀬戸芸を通じて地域がどのように変わりつつあるかを体感することを重視しました。 夏会期の第1弾として、瀬戸芸の原点ともいえる「大島」と、人気の高い「女木島」を訪問し、アートの背景にある島の歴史や風土に触れることを目的として企画されました。
■ 視察の様子と概要
猛暑の中での開催となりましたが、過去の重い歴史と向き合う大島と、多彩なアートが展開される女木島という、対照的でありながらどちらも瀬戸芸にとって重要な2つの島を巡る、非常に濃密な1日となりました。
1. 大島:ハンセン病の歴史と人権について深く学ぶ
大島では、国立療養所大島青松園の自治会副会長・野村様より直接お話を伺い、納骨堂や解剖台などを視察しました。国の強制隔離政策によって人生や自由を奪われた方々の理不尽な歴史や苦痛に触れ、参加者は深い悲しみとともに「歴史の重み」を痛感しました。また、島内のアート作品(山川冬樹さんによる、引き裂かれた夫婦を描いた映像作品や、ニキータ・カダンさんの支え合いのモニュメントなど)は非常にメッセージ性が強く、人権問題は決して過去のものではなく、現在進行形の問題として風化させてはならないと強く考えさせられました。
2. 女木島:進化するアートの島を体感
午後からの女木島では、古い町並みや自然と融合した数多くの現代アートを巡りました。「小さなお店プロジェクト」をはじめ、かつての小学校を活用した大竹伸朗さんの「女根/めこん」や、鏡の世界と現実が混在するレアンドロ・エルリッヒさんの「不在の存在」、日常の道具を再構築したヤコブ・ダルグレンさんの作品など、独自の世界観に引き込まれる多様な作品を鑑賞しました。点々と変わる島の風景を楽しみながらアートを探し歩く、瀬戸芸ならではの魅力を存分に味わいました。
■ まとめ
大島での「命と人権の尊さ」に向き合う厳粛な時間と、女木島での「多彩で個性的なアート体験」という、全く異なるベクトルから瀬戸内海の島の姿を体感する視察となりました。参加者からは、「大島での悲惨な過去を教訓とし、正しい知識を持って伝えていくべきだ」「ただアートを見るだけでなく、背景にある歴史や人々の思いを知ることで見え方が大きく変わった」「不条理に抗って生き抜いた人間の強さを感じた」といった声が数多く寄せられました。



